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全世界300万部の超ベストセラー 社会現象になった『ワンダー』

2015.10.06 OCT 20:00
学校に入ったオギーに起きる、いいことと好ましくないこと。挫けそうになったときに味方になってくれたのは…。感動的な格言が多数織り込まれている。ほるぷ出版 1500円

全世界で300万部(2015年3月時点)と超ベストセラーになっている、小説『ワンダー』。作家・R.J. パラシオさんにお話を聞いた。

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生まれつき顔に障がいがある10歳の少年がいじめや差別を乗り越え、彼らしく輝くまでの1年を追った『ワンダー』。いまや国境も言語も年代も超える名著として広まり、驚くべき奇跡=『ワンダー』旋風を巻き起こしている。

物語は、オギーことオーガストが学校に初めて通うことになったところから始まる。一種の異端児である彼を取り巻く子どもたちの反応はさまざまだ。最初の構想では、オギーの視点だけで書くつもりだったが、「次第に、なんでも弟第一になってしまう家庭で暮らす姉ヴィアの生き方や、ランチタイムにオギーと一緒に座るサマーの勇気の裏にあるものを知りたくなりました。オギーの完全な物語を補完するために、複数の視点で綴ることにしたのです」

それは同時に、オギー以外はみな外見こそ普通だが、実は悩みのない子はいないことを浮き彫りにする。

ちなみに、本書で大きな役割を担うのが、オギーが入学する学校のトゥシュマン校長が挙げる格言だ。

「校長が引用した<正しくあるより、親切であれ>はアメリカの心理学士、ウェイン・W・ダイアーの言葉で、この物語のテーマにぴったりだと思いました。本の中でもわかりやすいいじめばかりではなかったように、現実においても、いじめと呼べるほどではない“集団での意地悪”をとてもよく見かけます。親たちはなぜか、あの年頃の子どもは意地悪をするものだと訳知り顔で片付けたがるのですが、私には納得できなかったし、とても不満だったんです。『ピーター・パン』の作者ジェームズ・バリーの『小さな白い鳥』の一節<必要だと思うより、少しだけ余分に人に親切にしてみよう>にあるように、みながもうちょっとだけ優しさを選べば、世界はもっといい場所になると信じています」

この本にインスピレーションを受けた人たちによって、いじめ反対のキャンペーンが始まったり、親切運動推進団体が組織されたり。そうした社会現象も生まれていることに、パラシオさんは感動しているそうだ。

◇R.J.パラシオ 作家。夫と2人の息子、2匹の犬とともに、ニューヨーク在住。アートディレクターとして多くの本に関わる。2012年にアメリカで本書が出版され、デビュー。

◇『ワンダー』R.J.パラシオ 学校に入ったオギーに起きる、いいことと好ましくないこと。挫けそうになったときに味方になってくれたのは…。感動的な格言が多数織り込まれている。ほるぷ出版 1500円


※『anan』2015年10月7日号より。写真・加藤 淳 インタビュー、文・三浦天紗子

(by anan編集部)