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『孤独のグルメ』久住昌之原案の新たなグルメ漫画 テーマは“精進料理”

2015.11.26 NOV 20:00
“薄幸女子”サチと、お寺に集う個性の異なる3人の男子を軸に展開する、精進料理のグルメコミック。実際に作って食べてみたくなる、お手軽レシピが満載。秋田書店 619円

グルメマンガ隆盛の昨今だが、かねもりあやみさんの描く『サチのお寺ごはん』のテーマは精進料理。

肉や魚はもちろん、玉ねぎやにんにくなど刺激の強い野菜も登場しないグルメマンガってどうなの…!? と思うかもしれないが、これが実に豊かなのだ。原案協力は『孤独のグルメ』や『花のズボラ飯』で知られる久住昌之さん、監修はレシピ本を多数出版している料理僧の青江覚峰さんという、なんとも贅沢なコラボ。

主人公の臼井幸(うすい・さち)は名前が示す通り、ハズレくじばかり引いている27歳のOL。好きでも嫌いでもない仕事に追われ、毎日コンビニごはんで済ませていたが、近所のお寺で精進料理を食したことがきっかけで、食生活だけでなく考え方や人生も少しずつ変わっていく。

「季節のお料理を青江さんに提案していただき、それをもとにプロットを組んで、久住さんにアドバイスをいただくという流れで描いています。私自身、グルメマンガは初めてなのですが、料理の描き方や食べたときの表情やセリフなど、毎話勉強させてもらっています」(作者・かねもりあやみさん、以下同)

登場する料理の一例を挙げると、大豆でだしをとった「利休汁」というナスとごまのお味噌汁、肉の代わりにお麩を使った肉じゃがならぬ「お麩じゃが」など。かねもりさんはこうした料理をすべて自分でも必ず作るそうで、マンガ制作の大事な一工程となっている。

「実際に作ってからネームを書くと、キャラクターのセリフが全然違ってくるんです。お寺で青江さんが作ってくださった味となぜか異なるのも不思議で、サチが自宅で作り直すシーンなどに投影させています」

サチはお寺に通ううちに、若い住職に日頃抱えている些細な悩みや不満をこぼすのだが、含蓄のあるアドバイスにも癒される。

「お寺ごはんを食べると、丁寧に生活しようって思うんです。食材ひとつとっても、これでなければ絶対にダメというわけではないので、考え方も柔軟になります。サチの精進料理に対する発見や驚きを、一緒に楽しんでもらえると嬉しいです」

1巻で扱われた料理を集めると、ひとつのお膳ができあがるという粋な仕掛けも。素朴で温かなお寺ごはんのようにじんわり沁みる作品だ。

◇“薄幸女子”サチと、お寺に集う個性の異なる3人の男子を軸に展開する、精進料理のグルメコミック。実際に作って食べてみたくなる、お手軽レシピが満載。秋田書店 619円

◇かねもり・あやみ マンガ家。広島県出身。'11年、『ネペンテスの恋』で「金のティアラ大賞」銀賞を受賞してデビュー。「サチのお寺ごはん」は『エレガンスイブ』(毎月26日発売)で連載中。


※『anan』2015年12月2日号より。写真・水野昭子 文、インタビュー・兵藤育子

(by anan編集部)